3Dスキャニング
     

国史跡
宇智川麿崖碑保存・活用事業
横浜美術大学スタッフとして参画

文化財3Dスキャニングの実例

宇智川麿崖碑 概要

奈良県五條市小島町に流れる「宇智川」の渓谷にかかる不動橋の下部にある結晶岩の岩壁に大般涅槃経と蓮華座に載る立像(観音像)が刻まれている。
刻印時期:奈良時代の年号 宝亀7(776)年、宝亀9(778)年
 
事業の意義
天災・人災・地球環境の変化、および経年劣化によりこの刻印が消滅する恐れがある。そこで、この貴重な文化遺産の現状を保存し、将来の研究に資するために最先端の3Dスキャニングによるデジタルアーカイブおよびレプリカを製作して五條市文化博物館壁面に展示して研究者・来場者が常時簡単に観察することが出来るようにする。(実物の岩壁は入組んだ渓谷にあるため、万人がまじかに見ることは難しい)
 
弊社は宇智川麿崖碑の3Dスキャニングを担当いたしました。
 
 
現地調査

麿崖碑入口、案内看板の先にある階段から機材を背負って河川敷まで降下します。機材を置いて対岸の麿崖碑を調査しています。(右写真、黒シャツが当方です。)写真の時間帯は写真のようにまだ対岸に渡れる水量でしたがこの後、五條市近郊が記録的な豪雨にみまわれ、3Dスキャニング作業は後日へ・・・
 

3Dスキャニング作業

岩壁に建設現場用の足場(一畳程度)を組んでいただき、その上で3Dスキャニング作業を行いました。ヘルメット、安全帯、登山靴、スパッツ、雨合羽のフル装備で臨みました。いつ天候が悪くなり、機材を雨にさらすこと防ぐため、バックパック用の坊水カバーを準備しています。携行性が優れているArtec3D Eva(ハンディスキャナー)の能力を最大限に発揮できる案件です。テクスチャー(色彩)も同時に取得しています。
 

3Dスキャニング合成作業
対象物が大きいこともあり、ポリゴンメッシュデータの処理には時間がかかりましたが無事に作業が完了し、株式会社デジタルアルティザン様に納品することが出来ました。
大般涅槃経と蓮華座に載る立像(観音像)の刻印がスキャニング出来ています。
弊社の担当はここまでです。
 

ABS樹脂切削加工による造形
弊社の3Dスキャニングデータを元に、デジタル編集作業を経てNCデータを作成、

ABS樹脂切削加工(12分割)を行っています。

組立作業
部品同士の接着、ボルト&ナットによる締結。
 

塗装作業(着彩)
パテ盛り、スプレーガン、刷毛による塗装作業。非常に繊細な手作業です。
 
博物館への設置

道中険しく入組んだ渓谷に赴くことなく、五條市文化博物館で精密なレプリカをじっくりと観察することが出来ます。
この掲載記事での製作工程紹介はかなり省略していますが、多くの専門家が熟練技術を駆使して製作したレプリカです。この約半年にわたるプロジェクトに横浜美術大学のスタッフとして参画できたことを誇りに思います。
 

文化財3Dスキャニング

自然の渓谷にある石碑、形状取得の実例です。
本案件は文化財保存、デジタルアーカイブのための3Dスキャニングでした。
隣接する「五條新町」は歴史や風情を感じさせる、とても良い街並みでした。
 
宇智川麿崖碑
奈良県五條市小島町
宇智川の渓谷にかかる不動橋の下部
 
五條市文化博物館
奈良県五條市北山町930-2
 
Special thanks
株式会社デジタルアルティザン様
環境デザイン研究所様
横浜美術大学様
NPO法人大和社中様